コンパスいろいろ

春から何回かにわけてオリエンテーリングでこだわるギアとして、

 

1 コンパス

2 シューズ

3 服装 (タイツ・パンツについてはこちらから)

4 ディスクリプションケースゲイターなどアクセサリー

 

を上げましたが、今回はいよいよナビゲーション、レースの要となるコンパスについて。

オリエンテーリングに限らずナビゲーションスポーツのロゲイニング、アドベンチャーレース、OMM(Original Mountain Marathon)やアウトドアアクティビティ、登山でも活躍するので、それらを踏まえて紹介します。

 

みなさんはどんなコンパスを持っていますか?どのように使いますか?アウトドアショップで売っているプレートコンパスが一番!と思うでしょうか。

 

ここではコンパスの種類を分け、それぞれの特長や使い方を上げてみます。

 

 

コンパスといってもいろいろな種類があります。O-Ajariで扱っているものを含め、田島の中でこんな感じ!と整理してみました。

知っておくとナビゲーションもずいぶん幅が広がるのではないでしょうか。

 

磁針の止まりが速いプレートコンパス:2CLと2C。大きなレンズ付きは縮尺が小さい地図にも対応できる
磁針の止まりが速いプレートコンパス:2CLと2C。大きなレンズ付きは縮尺が小さい地図にも対応できる

プレートコンパス

ベアリングして(いわゆるコンパス1-2-3-4)直進する方法を知っていれば、より正確で距離の長い直進ができます。プレートの長辺が長いので、地図上の直進したい距離を測り、実際に直進をするとき前方の目標物を決めるのに優れています。登山ではこれを利用して山座同定や現在地確定ができます。

 

点から点に移動するために、より正確できっちりと直進をするためには、きちんとベアリングしてコンパスを地面と平行にしてお腹の前、そして頭を上げて進む方向の目標物を決めてから動くことがとっても重要です。

 

地図とプレートコンパスを片手で持つ場合は手のひらやコンパスの大きさにもよるのでやや工夫が必要かもしれません。どちらかの手に地図、もう一方の手にプレートコンパスの場合は、めんどくさがらずにこまめに整置する作業をしましょう。じゃないと方向を見失いやすい。付属のひもはレースなら手首にくくることをお勧めします。紐はぶらーんと長すぎても枝などに引っかかってしまうので、適当な長さに切ってしまいましょう。

 

首からコンパスをぶら下げるのはやめるように言っています。なぜ?道でも藪の中でも横から延びる気の枝などに引っかかって首が絞められてしまう可能性があるからです。こんなところも安全管理に目を向けたいですね。

 

O-Ajariでは2種類のコンパスを扱っています。いずれも磁針の止まりが速いタイプ。すぐに磁針が止まるので方向決定に時間を取られずすぐに動き出せます。

 

大きなレンズ付きのプレートタイプは細かい表現や地図が見づらいときに重宝しますが、いざ直進をするときは、直進方向の線が分断されているので注意しましょう。

 


モスクワコンパスサムタイプ2L
モスクワコンパスサムタイプ2L
モスクワコンパスサムタイプ2XL
モスクワコンパスサムタイプ2XL

サムコンパス

地図とコンパスを片手で一緒に持ち、常に地図の磁北線(あるいは北)とコンパスの磁針を平行にするか重ねることを意識していれば(ここ大事です、さぼったらダメ)、いつでも整置ができている状態になります。地図と現在地の対応、現在地確認、ルート維持にとても便利です。もう一方の手がフリーになるのもよいです。

 

一方でベアリングを使った直進はプレートの長辺が短いこと、またコンパスを持つ手首がぶれやすく影響されやすいので、慣れていないとどちらかに曲がりやすい傾向があります。本当にきっちり直進ができるようになりたい、その技術を身につけたいのであれば、まずはプレートを使ったほうがよいと思います。あるいはサムコンパスで直進をするなら手首の向きをいつも一定のフォームに固定するよう意識することが大事です。


O-Ajariでは2つのサムコンパスを扱っています。いずれも磁針の止まりが速いFastタイプです。方向決定がすぐできて、動き出すのに時間がかからないのでストレスがありません。磁針カプセルだけのStable(Fastより0.5秒遅いが安定度高い)タイプもあります。

 

写真で見るように、プレートの長辺は左の2Lのほうが長く、ベアリングを回す直進には向きますが、サムリーディングはプレートの先の部分でするなど工夫が必要。

右の2XLはサムリーディングが親指でそのままできるので現在地把握を始め、より整置を意識したい方に向いています。

 

プレートコンパスは紐がありザックや手首にくくることができますが、サムコンパスは親指にはめるもの。藪漕ぎをしているときにうっかり落としてしまうことがあるかもしれません(田島もこの間のロゲイニング世界選手権で紛失してしまいました)。高価なサムコンパスなら大打撃。細いゴムひもをつけて手首に巻き付けて落ちないよう工夫している友人がいました。参考にどうぞ

Ra-shin1
Ra-shin1

Ra-shin

 プレートのない、オイル入りの磁針のみのコンパスは、シンプルでビギナーの導入として、また方向を確認するのにぴったりです。余計なものが一切ないので磁針のみ注意を向けられます。地図と合わせて地面と平行にできるので正確な整置ができます。登山やトレイルランニングなどで、道を外さないことを前提とするときの方向維持や方向確認によいでしょう。

 

小さく軽いので予備のコンパスとしてファーストエイドキットと一緒に入れておくのもお勧めします。メインのコンパスを紛失、壊したとき、いざというとき役に立ちます。

 

Ra-shinは8方向のラインが入っているのと2㎝の目盛りがあるので、距離を測るのにも使えます。

 

Ra-shin1とRa-shin0の違い

磁針カプセルの色が黒(Ra-shin1は赤)

プレートの外側に小さな穴が開いていない(紐を通せるようにしてあるのがRa-shin1 )


 

 

リストコンパス

自転車、ストックを持っているとき、両手を自由にしておきたいとき、おおまかに方向を確認したいときに活躍します。レースのときは、実はあまりお勧めしていません。手首と地図の間に距離が生まれてしまい、正確な整置や方向確認ができないこと、手首の向きにより不安で固定がなかなかできないので方向決定の正確さに欠くからです。レースでなければ便利でよく使っています。

 

 

田島はどうコンパスを操っているか

30年以上に及ぶオリエンテーリング愛好者としてコンパスは必須。世界選手権を目指し世界と戦う中で1秒でも速く走るためにはどうするか。もちろんコンパスについてもあれこれ考えました。

 

20代前半までは子どものころから慣れ親しんだプレートコンパスを使っていました。だんだんと自分が強くなるにつれ、磁針の止まりが速く性能がいいプレートコンパスに変えていきました。

 

レース分析をしていくうちに、ミスが発生するときは整置をしていないことが多いのに気づきました。こまめに両手を使って整置をすることをめんどくさいとさぼっていたからです。そこからサムコンパスを使ってみることにしました。

 

先に書いたように、常に磁北線と磁針を平行することを意識して地図を持てば整置ができているので楽です。しかし今度は逆に正確な直進ができなくなりました。最初原因はわかりませんでしたが、手首の向きが都度固定せずバラバラなのでずれるのだと気づきました。それからきちんとお腹の前にコンパスを移動させてまっすぐ直進する目標物を定めること、手首の向きは、親指がお腹と垂直になることを意識して練習しました。今では表の黄色〇にあるように、サムコンパスでも正確に直進できます。でもここまでくるには相当な練習と時間がかかっているのです。

 

 

持つコンパスは1つでよいのか

シューズやウェアをコンディションによって変えるように、コンパスもレースなら競技の特性や自らのナビゲーションスキルと傾向で変えたほうがよいでしょう。田島の場合はこんな感じです。

 

オリエンテーリング: サム(モスクワ2L) + Ra-shin(予備:ポケットに)

 

ロゲイニング、 THE OMM:  サム(モスクワ2L) + プレート(1㎞以上の直進、夜間の直進、より正確な直進) + Ra-shin(予備:ファーストエイドキットに)

 

登山:Ra-shin or リストコンパス + プレート(予備)

 

 

コンパスは持っていればいいというものではなく、そもそも使い方を知らなければ意味がありません。

 

最初は磁針を使って方角がわかること、16方向パッとわかるようになること。

その次に整置

さらにその次に整置によるまっすぐな直進

さらにさらにベアリングして正確な直進

 

1に整置、2に整置、3、4も整置で5にベアリング使った直進!!

 

コンパスと仲良くなること。そのためにはきちんと練習が必要です。なんとなくではなくきちんとできるようになればナビゲーションの世界が広がり、また違う楽しさを見つけられるでしょう。

応援しています!!